第112回医師国家試験 割れ問特集 D問題編

割れ問特集もいよいよ後半戦です

D問題では12問です!

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112D3

小児期からの増悪と寛解を繰り返す耳漏を主訴に受診した患者の左鼓膜写真を別に示す。
この疾患で、耳漏の細菌検査で同定される可能性が最も高いのはどれか。

a 結核菌
b 肺炎球菌
c 黄色ブドウ球菌
d インフルエンザ菌
e Moraxella catarrhalis

解答

c

慢性中耳炎の起因菌は黄色ブドウ球菌や緑膿菌

112D6

ある患者に対して処置を行った後の腹部エックス線写真(別冊No.2)を別に示す。
この患者の疾患として考えられるのはどれか。

a イレウス
b Crohn病
c 食道静脈瘤
d 総胆管結石
e 非閉塞性腸管虚血症

解答

d

画像は経鼻的胆道ドレナージ(ENBD)
選択肢中で胆道に関わるのはdだけである

なお、総胆管結石はERBDが主流のため、総胆管結石よりもENBDを入れる機会が多いのは胆管癌。

ENBDとERBDの適応はPTCDと同様で、閉塞性黄疸の減黄・急性閉塞性化膿性胆管炎の治療
である。

112D10

胸膜中皮腫について正しいのはどれか。
a 良性腫瘍である。
b 上皮型が最も多い。
c 両側に病変を認めることが多い。,
d 珪酸〈ケイ酸〉曝露との関連性が認められる。
e 我が国での年間死亡者数は1万を超える。

解答

b

a悪性に分類
b上皮型が最多
c片側が多い
dアスベストとの関連が報告されている
e1500人前後

112D14

慢性腎臓病〈CKD〉について正しいのはどれか。2つ選べ。
a 重症度は原疾患、GFR、血尿の3者で分類する。
b 蛋白尿の量は心血管死亡のリスクと関連しない。
c GFRが正常でも血尿が3か月続けばCKDである。
d GFRが正常でも顕性蛋白尿が3か月続けばCKDである。
e 腎の形態的異常があってもGFRが正常であればCKDではない。

解答

cd

<CKDの定義>
①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、
特に0.15g/gCr以上の尿蛋白(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要
②GFR<60ml/分/1.73m^2

①、②のいずれか、または両方が3カ月以上持続する

したがって、正解はc,d

112D25

65歳の男性。人間ドックの腹部超音波検査で異常を指摘されたため受診した。腹部は平坦、軟で、自発痛と圧痛とを認めない。血液所見:赤血球480万、Hb15.8g/dL、Ht46%、白血球6,800、血小板24万。血液生化学所見:アルブミン4.3 g/dL、AST32U/L、ALT40U/L、LD180 U/L (基準176~353)、ALP212U/L (基準115~359)、γ-GTP40 U /L (基準8~50)、アミラーゼ73U/L (基準37~160)、CEA3.2 ng/mL(基準5.0以下)、CA19-9 14 U/mL (基準37以下)。CRP0.2 mg/dL。腹部造影CT(別冊No.11 A)とMRCP(別冊No.11 B)とを別に示す。
病変の質的診断を行うため次に行うべき検査はどれか。

a 腹腔鏡検査
b 腹腔動脈造影
c 超音波内視鏡検査
d 下部消化管内視鏡検査
e 内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉

解答

c

まず、検査データと画像から膵嚢胞又は非腫瘍性の腫瘤であると考えられます。腫瘤性病変の質をみたい場合、超音波内視鏡を用いて腫瘤の性状を確認することがfirstです。解答最大派のERCPではMRCP以上の情報を得られる可能性は低いです。知りたいのはあくまで腫瘤の性状です。

112D27

74歳の女性。ネフローゼ症候群のために一般病棟に入院中であったが、呼吸困難、低酸素血症および腎機能低下による尿量減少をきたした。胸部エックス線写真で肺うっ血と両側胸水とを認め、心胸郭比は74%であった。持続血液透析濾過〈CHDF〉と呼吸管理とを行うためICUに入室し、気管挿管下に人工呼吸を開始した。動脈血ガス分析(F₁O₂1.0):pH7 .45、PaCO₂32 Torr、PaO₂100 Torr、HCO₃⁻
22mEq/L。肺胞気-動脈血酸素分圧較差〈A-aDO₂〉は、一般的にPAO₂(肺胞気酸素分圧)-PaO₂で表される。
この息者のPAO₂ はどれか。
ただし、大気圧は760Torr、37℃での水蒸気圧は47Torr、呼吸商は0.8とする。
a 150-32
b 150-32/0.8
c 760-47
d (760-47) × 1.0-32
e (760-47) × 1.0-32/0.8

解答

今回はF₁O₂1.0(=100%)なので、おそらくeが正解です。

もしF₁O₂0.21(=21%,大気中の酸素濃度)とすれば、(760-47)×0.21=150となってbに変化しますが、挿管して酸素投与しているので、今回はeです。

112D30

70歳の男性。激しい腹痛と腹部膨満感とを主訴に救急車で搬入された。以前からParkinson病で内服治療中であった。体温36.8℃。心拍数72/分、整。血圧130/70 mmHg。呼吸数16/分。血液所見:赤血球420万、Hb11.2 g/dL、白血球11,000、血小板20万。血液生化学所見: AST33U/L、ALT25 U/L。CRP5.8mg/dL。腹部エックス線写真(別冊No.13)を別に示す。
まず行うべきなのはどれか。

a イレウス管留置
b 高圧酸素療法
c 緊急開腹手術
d 内視鏡治療
e 浣腸

解答


S状結腸軸捻転。
血液検査所見やバイタルから腸管壊死は疑いにくいため、まずは内視鏡にて整復を試みる

S状結腸軸捻転で内視鏡的整復(捻転部を通過し、拡張腸管内の空気や腸液を吸引する手技)を選ぶべき問題です。が、可能なら造影CTで捻転腸管の血流が維持されているか、せめて単純CTで腹水の有無は確認しておくべきです。腸管虚血や腹水貯留があれば緊急手術は考慮に値します。精神疾患や神経筋疾患が背景にある場合、腹部所見はあてになりません。血液検査に頼りすぎてもいけません。日本では考えにくいですが緊急でCTが撮影できない病院だと、いきなり手術という選択もありえます。

112D38

出生直後の新生児。妊娠36週までの妊婦健康診査では児の発育は順調であったが、妊娠37週2日に母親に下腹部痛と性器出血が出現し、胎児心拍数陣痛図で遅発一過性徐脈を繰り返し認めたため緊急帝王切開で出生した。心拍数60/分。出生時から自発呼吸がなく、全身にチアノーゼを認める。刺激をしても反応がなく、全身がだらりとしている。娩出後30秒の時点で自発呼吸を認めない。外表奇形を認めない。
この時点で開始する処置として適切なのはどれか。
a 胸骨圧迫
b 静脈路確保
c 足底および背部刺激
d バッグバルブマスク換気
e 持続的気道陽圧法〈CPAP〉

解答

d

NCPRのアルゴリズムにより自発呼吸が見られないときは人工呼吸を行うことになっている。
よってバックバルブマスクでの換気を行うのが正解である。

112D47

18歳の女子。くしゃみと鼻汁とを主訴に来院した。幼少時から一年中くしゃみと水様性鼻汁があり、特に起床直後に症状が強い。血清特異的IgE検査でヤケヒョウヒダニとコナヒョウヒダニのスコアが高値を示した。根治的な治療を希望して受診した。
根治が期待できる治療法はどれか。
a 減感作療法
b 鼻内レーザー手術
c 抗ヒスタミン薬内服
d 抗ロイコトリエン薬内服
e 副腎皮質ステロイド点鼻

解答

a
アレルゲンを皮下注射または舌下投与します。舌下投与では数年間にわたって毎日服薬すれば根治を目指せます。

112D54

89歳の男性。発熱と意識レベルの低下とを主訴に来院した。2年前に脳梗塞を発症し嚥下困難となったため、胃瘻から栄養を摂っている。この1年間で2回、肺炎に罹患している。2週間前、38℃台の発熱があり、意識障害を認めたため、入所中の特別養護老人ホームの職員に連れられて来院した。胸部エックス線写真で両側下肺野にすりガラス陰影を認めた。入院し抗菌薬の投与を行ったところ、症状は改善し退院することとなった。合併症に対する内服薬を胃瘻から投与している。
肺炎再発リスクとなる可能性の高い薬剤はどれか。

a 睡眠薬
b 去痰薬
c 胃粘膜保護薬
d 腸管蠕動改善薬
e カルシウム拮抗薬

解答

a

睡眠薬投与により意識レベルが下がるため、誤嚥性肺炎のリスクが高まる。

112D66

8歳の男児。軽自動車にはねられ受侮し、ドクターヘリで搬入された。救急隊到着時には路上で泣いていたが、その後意識障害が急速に進行し、JCSⅢ-100まで低下したためドクターヘリを要請した。搬入時、右片麻痺と左共同偏視とを認め、気管挿管して搬送した。来院時、意識レベルはGCS5 (E1V1M3)。体温36.8℃。心拍数90/分、整。血圧134/86mmHg。呼吸数22/分。SpO₂100%(バッグバルブマスク人工呼吸下)。左瞳孔の散大と対光反射消失とを認める。左前頭部に開放創を認め、骨折部と連続している。頭部CT(別冊No.36)を別に示す。
治療として適切なのはどれか。2つ選べ。

a 減圧開頭術
b 抗菌薬投与
c 脳室ドレナージ
d 脳内血腫除去術
e 副腎皮質ステロイド投与

解答

ab

開放創があるので抗菌薬は分かりますが、血腫除去か開頭減圧かで悩みます。余裕があれば血腫除去がベストですが、片側の瞳孔散大、対光反射の消失、急速に進行する意識障害という状況、CTで病側の脳室が圧排されていることから考えて、既に脳ヘルニアがかなり進行している可能性があります。とすれば救命が最優先されますから、緊急避難的に開頭減圧を行うという選択もあると思います。

112D67

4歳の女児。30分前にボタン電池を飲み込んだため父親に連れられて来院した。機嫌はよい。胸腹部エックス線写真で胃内にあることが確認された。
対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
a 胃洗浄
b 開腹手術
c 経過観察
d 磁石による摘出
e 内視鏡による摘出

解答

de
胃内に電池が停滞しており、マグネットカテーテルや内視鏡による摘出を試みる。

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