映画『今夜、ロマンス劇場から』試写会に行ってきました
ネットで応募した試写会に当選したので見に行ってきました。公式ホームページの見た目からラ・ラ・ランド風な映画かと思いきや、全然異なるストーリーでした。
あらすじ
綾瀬はるかと坂口健太郎が共演し、モノクロ映画の中のヒロインと現実世界の青年が織りなす切ない恋の行方を描いたファンタジックなラブストーリー。映画監督を目指す青年・健司はモノクロ映画のヒロインである美雪に心を奪われ、スクリーンの中の彼女に会うために映画館に通い続けていた。そんなある日、美雪が実体となって健司の前に現われる。モノクロ姿のままの彼女をカラフルな現実世界に案内するうち、健司と美雪は少しずつ惹かれ合っていく。しかし美雪には、人のぬくもりに触れると消えてしまうという秘密があった……
テーマ1「彩り・暖かさ」
この映画で1番感じたことは、「カラーの鮮やかさ・温かみ」でした。美雪は白黒映画から抜け出してきたので見た目も服も白黒でした。カラーの映像の中で白黒の美雪だけがなぜか冷たく、無感情のような印象を受けました。しかし美雪は服を着替え、化粧をすることでカラーの生活をすることができました。
他にも彩りを感じるシーンが沢山あります。
・色の山手線ゲーム
・虹を見上げる
・絵の具で映画の大道具に落書きする
・蛍の光に見とれる
・カラフルなドロップを食べたり飲み込んだり投げたりする
また美雪は人のぬくもりに触れると消えてしまいます。なぜこのルールを美雪が知っていたかは謎でしたが(ロマンス劇場の館長に会う前から知っていた)、「人に触れると」ではなく「人のぬくもりに触れると」消えてしまうという設定から、人の暖かさや肌で感じる愛情を伝えたいという監督の意図が伝わってきます。
普段私たちは何気なく恋人に触れたり友人とハイタッチしたりして人のぬくもりを感じていますが、それがなくなったら、、、と考えると「人のぬくもりの大切さ」に気づきます。
他にも暖かさを感じるシーンはたくさん織り込まれています。
・晴れ←→雨 の対比を多用
・桜、虹・蛍、紅葉、雪 と四季を感じる
・美雪が人肌に触れないように手袋を多用する(アナと雪の女王のエルサを思い出しますよね)
テーマ2「愛する人の死」
この物語は入院中の語り手が、仕事をサボりたい看護師に昔作った脚本を読み聞かせる話が現在の時間軸となります。語り手は実は脚本の中(過去)の健司本人であり、映画から出てきた美雪は年を取らずに健司のお見舞いをしています。決断のシーンで美雪に「最後にハグをして」と求められた健司の答えはNOで、「触れられなくてもいいからずっと一緒にいたい」と言ったのでした。
しかし、美雪は未だに健司に触れることができず、周りには愛情のない冷たい孫だと非難されてしまいます。
健司は自分の寿命が近いことを感じ取り、脚本の続きを書きます。ある雨の夜、美雪は病院から連絡を受け走って向かいます。健司の死に目に間に合った美雪は今まで一度も感じたことのない、愛する人のぬくもりを感じようと、死にゆく健司を抱きしめます。そして美雪は消えてしまいます。翌朝、桜の舞う中、病室のテーブルには完成された脚本がありました。
その脚本は健司の人生そのものであり、美雪が存在したことを示す唯一の証でもありました。
医療人として普段病院にいると意識できなかったのですが、ぬくもりがいかに人の心を救うかということに改めて気づかされました。
愛する人のためなら大きな犠牲だって厭わない人たちにとって、その愛する人の死はどれほど辛いものかを考えただけで胸がはちきれそうになりました。
健司の脚本には続きがありました。
お城の大広間で健司と美雪は白黒の世界に色を灯し、大勢の仲間たちに祝福されながら、念願のキスを交わすのです。それは鮮やかでぬくもりのあるキスでした。
「物語はやっぱり、ハッピーエンドでなくっちゃ!」と何度も何度も言われた健司の気持ちが表れています。
主題歌は、シェネルの『奇跡』でした。感動的な曲です。