ドラマ『アンナチュラル』から学ぶ法医学!第4話
2018年2月2日金曜日夜10時放送のドラマ『アンナチュラル』第4話をネタバレ解説していきます!
Unnatural Death #4 誰がために働く
あらすじ
ある日、ミコト(石原さとみ)の母であり、弁護士の夏代(薬師丸ひろ子)がUDIに解剖の依頼にやってきた。バイク事故によって、若くして亡くなった佐野(坪倉由幸)の死因を究明してほしいという。
佐野には妻と子供が2人いたが、バイクの任意保険が切れていた上に生命保険にも加入していなかった。子供2人を抱えて途方に暮れる妻・可奈子(戸田菜穂)を助けるべく、夏代がUDIに連れてきたのだ。
佐野が事故を起こした原因として考えられるのは3つ。
①佐野が勤めていた工場の長時間労働による過労
②乗っていたバイクの修理ミス
③かかりつけ医師による病気の見落とし
死因次第で責任の所在が変わるため、死因究明は遺された家族にとっては重要な問題となる。また、疑いをかけられた勤め先の工場長、バイク屋の店長、病院の弁護士がUDIにやってきて、醜い責任の押し付け合いをし始める。
中立公正な立場にあるミコトたちは解剖に取り掛かるが、佐野の意外な死因を発見してしまうことに…。果たして、UDIは遺された家族を救うことができるのか?!
その一方、UDIに『お前のしたことは消えない、裁きを受けろ』と書かれた脅迫状が届く。中堂(井浦新)は自分に宛てられたものだと言うが…。
葬儀屋の木林(竜星涼)を使って怪しい動きをしている中堂の秘密がついに明らかになる…!?
石原さとみ超絶可愛いですよね、超絶可愛いですよ、超絶可愛い…
結末
佐野の死因はくも膜下出血でした。その原因は1ヶ月前に起きたバイク事故による外傷性椎骨動脈損傷でした。社長の命令によるバイク勤務だったことにより裁判で賠償請求をすることになる、という結末でした。
椎骨動脈とは
椎骨動脈は鎖骨下動脈の枝になります。
鎖骨下動脈の枝は中枢側から順に椎骨動脈・内胸動脈・甲状頸動脈・肋頸動脈の順になります。
有名な覚え方があります。「ツナコロッケ」です。
そんな椎骨動脈は実は脳や脊髄を灌流する大事な動脈です。
佐野さんは椎骨動脈の亀裂が脳・脊髄の近くにまで及び、くも膜下出血を起こしたと考えられます。
くも膜下出血(SAH)とは
日本では10万人に20人の割合で起こる病気です。
非常に予後が悪い病気で、3分の1が死亡、3分の1が重度の後遺症を持ち、3分の1のみが社会復帰できます。
くも膜下腔にある動脈が破裂することによりくも膜下腔に出血が広がり、脳を圧迫します。
原因として最も多いのは脳動脈瘤の破裂ですが、外傷によって血管が裂けることでも起こります。
突然の強い頭痛・悪心・嘔吐・意識障害・髄膜刺激症状などが特徴です。
くも膜下出血のCT像
こちらがくも膜下出血のCTです。どこが病変かわかりますか?
答えはこちら↓
この5角形、特徴的なのでダビデの星やらペンタゴンやら呼ばれます。
こちらは国家試験の問題でした。